『太秦ヤコペッティ』は、京都に拠点を置き、先鋭かつ大胆な作品を繰り出すシマフィルムが『堀川中立売』(10年/柴田剛監督)、『天使突抜六丁目』(11年/山田雅史監督)につづき、
現代の京都を舞台に製作する映画シリーズ、“京都連続”の第3弾である。
本作の舞台は、京都が世界に誇る映画の街、太秦。しかしこの映画では、観光地として知られた場所ではなく、誰もが懐かしさを覚えつつも、
どこにも存在しないような錆色の街の風景が、ノイジーな粒子感と、赤や黒を基調とした鮮烈な色彩によって映し出される。
監督は「未来からやってきた才能」とも評される若き鬼才・宮本杜朗。脚本・撮影・編集もつとめ、その類まれな才能を余すことなく本作に込めている。
宮本監督の盟友、和田晋侍が、まさに彼でしか出しえない独特の存在感で主演“百貫省二”役を演じきる。
巨人ゆえにデカイ、DMBQ等のバンドでドラムをたたくミュージシャンでもある和田が音楽も担当。
まるでこの映画そのものが生き物のような脈動をサウンドで創出する。
関西演劇界の注目株として高い評価を受ける劇団子供鉅人のキキ花香、お笑いコンビ「グレートチキンパワーズ」として一世を風靡し、
野島伸司ドラマ「未成年」などで一時代を築いた北原雅樹をはじめ、音楽・舞台・芸能・映画など各方面で活躍する、ありえないキャスティングが実現。
『太秦ヤコペッティ』には、あなたがこれまでに見たことのない“異様”なモチーフやシチュエーションが次々と画面に登場する。観る者を驚かせつつも、 鑑賞後にもたらされるのは、どこか清々しい不思議な余韻である。 これは停滞した人類への警鐘か?はたまた未来への大いなる希望か?観ればわかる、ここにすべてがある!
百貫省二(和田晋侍)と妻の佐奈(キキ花香)、息子の茂男(小沢獅子丸)は、家族3人睦まじく暮らしていた。省二は自ら思いついたやり方で、“磁石の家”=マイホームを建てはじめる。
そんなある夜、省二が家の資材のため牛を捌いて生革を剥いでいるのを、警官・小早川義竹(北原雅樹)が発見。小早川は省二に「裏稼業」の依頼を持ちかける。
家族のため、省二は家を造り、「裏稼業」を重ねる。ところが、ひょんなことから事態は思いもかけない展開をみせてゆく——。
果たして小早川の計画は?マイホームは完成するのか?磁力で暮らし、自力で生きる百貫家、そして人類の未来の行く末は!?
父・百貫省二
1981年生まれ、大阪出身のミュージシャン、ドラマー。2001年結成のバンド、巨人ゆえにデカイ以降、手ノ内嫁蔵、DMBQ(06年加入)、 ドラマーとしては、ドラムセットのソロ演奏や自身の即興演奏プロジェクト和田ロッカーズ等、複数のバンド、プロジェクトで活動、コンポーズする。 また、宮本杜朗監督作品『尻舟』『こぼれっぱなし』に役者として出演、本作『太秦ヤコペッティ』では主演&音楽を務める。
母・百貫佐奈
1988年生まれ。2008年、劇団 子供鉅人『電気女夢太る』に出演。以後入団、全ての公演に出演。 2012年CoRich舞台芸術まつり参加作品『キッチンドライブ』にて女優賞受賞。 また、2011年に劇団員の益山寛司と結成したコケシユニット、コケシーズでライブハウスや本屋等、活躍の場を広げている。 大事なものは自分より小さいもの。将来の夢はでかい部屋に住むこと。
子・百貫茂男
04年生まれ。生後すぐから大衆演劇(歌・踊り・アクロバット)のステージに立ち続け、8才にしてTV番組や舞台公演にも出演多数。 その物怖じしない天真爛漫な存在感で初の映画主要キャストでの起用となった。
警察官・小早川義竹
1976 年生まれ。お笑いコンビ、グレートチキンパワーズとして「笑っていいとも」等TVバラエティ番組 で活躍し一世を風靡。 俳優としては「未成年」(95年/TBS系)、「竜馬におまかせ!」(96年/日本テレビ系)等数々のTVドラマに出演し高い評価を 得る。 その後、映画や単発TVドラマ、舞台などで活躍ののち、数年間の俳優休業を経て、2012年より兵庫県加古川市を拠点に俳優・司会・MCタレントと して復帰した。
1943年生まれ。通称「5万回斬られた男」。15歳で東映京都撮影所に入社。以後死体役、通行人、スタントマンを経て、 およそ半世紀にわたり数々の映画、TVドラマで“斬られ役”を演じ続けている。 2002年、トム・クルーズ主演映画『ラストサムライ』に“The Silent Samurai”として出演し、世界的に高い評価を得る。 著書に『どこかで誰かが見ていてくれる ―日本一の斬られ役・福本清三―』(集英社/創美社)等がある。 太秦を中心とした京都映画界には、なくてはならない男である。
1966年生まれ。『地獄甲子園』(02年/山口雄大監督)、『パッチギ』(05年/井筒和幸監督)、 『AVN/エイリアンvsニンジャ』(11年/千葉誠治監督)、『GANTZ』シリーズ(11年/佐藤信介監督)、 『探偵はBARにいる』(11年/橋本一監督)、『地獄でなぜ悪い』(13年/園子温監督)等で、一度見たら忘れられないキャラクターを演じ続けている。
大阪を拠点に活動するサイケバンド、オシリペンペンズのヴォーカル。 『太秦ヤコペッティ』主演の和田晋侍とはバンド・手ノ内嫁蔵でメンバー同士であり、宮本監督の前作『尻舟』でもメインキャストとして共演。 俳優としても『堀川中立売』(10年/柴田剛監督)に主演している。
バミューダ★バガボンド、KAS69の2つのバンドにてヴォーカルを担当。 俳優として『おそいひと』(04年/柴田剛監督)、『堀川中立売』(10年/柴田剛監督)に出演している。
クリトリック・リスとして精力的にライブ活動を続ける。 パンツ一丁で行なうその比類なきパフォーマンスに、中毒的な魅力にじわじわとハマるファンが多い。 宮本監督の前作『尻舟』に続き今回も出演。
1981年、京都・太秦生まれ。初長編『吉村佳雄 WALKING, SLEEPING』(05)が中之島映画祭グランプリ。短編『明日香荘の人』はBerlin Asia Pacific Film Festivalに出品。
第三回CO2企画制作監督として制作した『フリフリ坊主』(07)、劇場初公開となる長編『尻舟』(09)が話題となる。ほかに短編『こぼれっぱなし』(10)等。
最新作は、大阪のクラブ・ヌーンの摘発を受けて、風営法問題を題材にしたドキュメンタリー『SAVE THE CLUB NOON』(13)。
また、映画の他に多くのミュージシャンのPVも手がけ、オシリペンペンズ「時は来た」P V 、DODDODO「猫がニャ~て犬がワンッ」PV、似非浪漫「ギガ大将」PV、オニ(あふりらんぽ)「あじさい」PV、YDESTROYDE「必殺」PV、トンチ「イナズマン」PV、water fai「YYTV」PV、ピカチュウ(あふりらんぽ)との実験映像「ランゲルハンス島」(09)、「white shit white white and W. ≒ SOFT」(11)等がある。